【切手買取】文化人切手シリーズ　vol.18　寺田寅彦

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1952.11.3、文化人切手シリーズ第十七弾として、寺田寅彦切手が発行されました。

熊本の第5高等学校で夏目漱石という最高の恩師に巡り合い、理系であった寺田寅彦が文学の道を志したきっかけとなりました。夏目漱石という存在が、寺田寅彦を「科学者で随筆家」という稀有な存在へと導いたと考えると、感受性豊かな学生時代に受ける教師の影響の大きさが分かりますね。

寺田寅彦は自然科学的な随筆もよく著しており、その随筆を読んで、自然科学や地球物理学を志す人たちも数多くいたようです。

学生時代に夏目漱石より、影響を受け、文学を志した寺田寅彦の随筆が、今度は自然科学や地球物理学を志す人たちを育成するきっかけとなったと考えると人と人との縁の面白さを感じますね。

寺田寅彦は名言も数多く残しており、「天災は忘れたころにやってくる」という言葉も寺田寅彦の発した言葉と言われています。

寺田寅彦は東京に生まれますが、高知、名古屋、東京と引っ越しも多く、熊本の第五高等学校へ進み、夏目漱石より英語を学ぶこととなります。

その後、東京帝国大学を実験物理学の分野において首席で卒業し、講師、助教授を経て、当時の物理学の最高峰であるベルリン大学へドイツ留学を果たします。

寺田寅彦の物理学者としての研究は物の割れ目がどうできるか、墨流しでどんな模様が生じるかなどの研究を行っており、当時の物理学者から見ると直感的で、どれも古典力学、古典物理の応用だと捉えられる傾向もあり、あまり研究を評価されることは少なかったようです。

しかし、時代が進み、表面科学が進んでくると、寺田寅彦が研究してきた割れ目が非常に重要な意味を持つことが分かるようになってきたようです。

また、X線におけるラウエ斑点の発見が伝わった時も、寺田寅彦は結晶によるX線の研究を一早く始めました。

ラウエが行った研究のように「数時間を費やして1枚の写真」を撮るのではなく、結晶を動かすことで直接斑点の変化を見る方法を発見し、1913年の「数学物理学全記事」にその手法が発表されるとドイツのミュンヘン大学の研究者たちを驚かせたという話もあります。

寺田寅彦は当時の世界の最先端とも言えるX線の研究も1年ほどでやめてしまい、熱海の間欠泉や大島の火山を研究しました。大陸移動説を大いに支持し、大陸移動で日本海が作られたという説を提唱していましたが、学界では否定されたままの研究となりました。

寺田寅彦は物理学者としても一線級の活躍をしていたはずですが、むしろ随筆家としての業績を評価される向きが多く、後進の研究者に随筆を通して影響を与えた偉人ともいえる人物ですね。

物理学者でありながら、文才もあり随筆家としても名を馳せた寺田寅彦切手ですが、当時10円で発売されたものも、並品で260円、美品では倍の金額で取引されるほど人気のある切手となっています。

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