貯金専用の台紙付き切手　「郵便切手貯金台紙」とは？

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「郵便切手貯金台紙」とは？

明治維新後、日本は産業革命を達成し、アジアで初めての工業国となりました。

通常の場合、工業化の進展の為には、株式市場からの資金調達、大銀行からの資金調達による国家及び巨大企業による工業化の進展と考えたほうがしっくりきそうです。

しかし、20世紀初頭には日本の貯蓄率は実にGNP比10％程度に上昇し、安定する現象が見られ、その貯蓄の構成比も、20世紀を境として、民間75％・政府25％の割合となっていました。その民間貯蓄の割合も個人が90％以上を占める多数の個人による貯蓄性預貯金が安定的に増加しており、第三のルートとして国家及び企業活動を支える資本として活躍していたようです。

日本では発行する国債のほとんどを国内の銀行や個人により、消費されており、外貨建ての借金はほとんどありません。その日本の財政を支えているのは個人貯蓄に代表される国民の資産であり、現在にも続く日本国民の貯蓄性向は20世紀初頭に醸成されたのかもしれないですね。

この日本人の貯蓄性向は、1861年にイギリスで世界で初めて、労働者階級向けの郵便貯金制度が始まったことを受け、イギリスに留学した前島密が日本でも郵便貯金制度を取り入れたことに由来します。

当時、日本の庶民にはなかなか、貯蓄の精神が根付かず、明治政府も国民貯蓄を高めるため色々と苦労をしたようですね。実に10年以上をかけて明治政府は倹約と貯蓄の奨励を行い、日本はGNPの10％に達するまでの巨大な個人貯蓄を有する国家となりました。

「切手貯金」はこうしたなか、貯金最低額の10銭を貯められない子供たちのために創設され、郵便切手貯金台紙に1銭や2銭の切手を貼り付け、10銭以上であれば貯金として預け入れることが出来るようになりました。

この台紙は貯金奨励のため、各小学校に寄贈され、子供の貯金預け入れ人数は飛躍的に増加していきました。

1941年に発行された郵便切手貯金台紙は国家総動員法により、郵便貯金が50銭以上からしか受け付け出来ないこととなった為、あらかじめ10銭を印字し、10銭切手を4枚はれば50銭の貯金として扱われるようになりました。

日本人にとって、貯蓄することは現在では当たり前のことですが、明治維新後すぐでは、「宵越しの金は持たない」という言葉に代表されるように余ったお金は消費するという考え方の人が多かったようです。

子供の頃から「切手貯金」により、貯蓄することが当たり前になっていったことがその後の日本人の貯蓄性向を決定づけたと考えてもいいのかもしれないですね。

まとめ

1941年に発行された郵便切手貯金台紙は発行数も少なく、5,000円を超える高値で取引されることもあるようですね。

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